クレジットカードはキャッシュレス決済の代表的な存在で、保有率は約90%と言われています。
この身近な存在であるクレジットカードの決済の仕組みについて解説していきます。
クレジットカード決済の仕組み
クレジットカード決済は、大きく分けて利用者、加盟店、カード会社という3つの存在から成り立っています。
ここでは、クレジットカード決済の具体的な仕組みを解説するとともに、決済代行会社を加えた決済の仕組みについても解説します。
クレジットカードとは?
クレジットカードとは、現金を持っていなくてもカード会社が立替払いをすることで、商品やサービスを購入できるカードのことです。
このように、現金なしで買い物できるのは、クレジットカード利用者にカード会社から証明された信用があるからです。
クレジットカードの支払いは後払い式で、翌月にカード会社により、カード利用者の銀行口座から引き落とされます。
そのため、クレジットカードはインターネットショッピングと相性が良く、インターネットショッピングの拡大に大きな役割を果たしています。
もちろん、実店舗でも利用可能ですし、公共料金や税金の支払いにも利用されています。
そんなクレジットカードの特徴は、発行するにはカード会社の審査に通過する必要があるという点です。
つまり、審査に落ちれば、クレジットカードは発行されないということです。
クレジットカードは3つの存在から成り立つ
クレジットカードは、3つの存在から成り立っています。
3つの存在とは、「カード利用者」「カード加盟店」「カード会社」です。
この3者間の関係を解説しながら、クレジットカード決済の仕組みを解説します。
1.カード利用者とカード加盟店
カード利用者は、クレジットカードを保有し、商品やサービスを購入をする人です。
それに対してカード加盟店は、商品やサービスを引き渡します。飲食店、小売店、オンラインショップなどが該当します。
2.カード加盟店とカード会社
カード加盟店は、カード会社からカード利用者の立替払いで売上が支払われます。基本的には加盟店が支払う加盟店手数料が相殺され、売上と手数料の差額がカード会社から加盟店に支払われます。
このカード会社にはイシュアーと呼ばれるカード発行を行う会社と、アクワイアラーと呼ばれる加盟店管理を行う2社が存在します。この機能を同じ会社が1社で担うこともあります。
カード加盟店がカード会社に手数料を支払うのは、クレジットカード決済を可能にすることによって、集客力が上がったり、売上管理が効率化されたりするなどのメリットがあるからです。
3.カード会社とカード利用者
カード会社は、カード利用者に対してカード利用金額を請求します。
支払日はクレジットカード会社によって異なり、指定された日付になるとカード利用者の銀行口座から、カード利用金額が引き落とされます。5日、10日、27日、末日が多いです。
これは給料の支払日との関係があり、給料が振り込まれた後の日にちを選択するのが良いでしょう。
決済代行会社を通した場合の決済の仕組み
クレジットカードは、「カード利用者」「カード加盟店」「カード会社」の3つの存在から成り立っていると解説しましたが、決済代行会社が加わることがあります。
決済代行会社とは、クレジットカード決済などのキャッシュレス決済を導入したい店舗やネットショップ(以下「店舗など」と記載)とカード会社などの決済会社との契約や手続きを代行する会社のことです。
決済代行会社を利用することで、店舗などは、カード会社や携帯キャリア決済など複数のキャッシュレス決済を利用することが可能になります。
というのは、決済代行会社が一括で契約やシステム構築をしてくれるため、店舗などはそれぞれの決済会社と契約手続きやシステム構築をする必要がないからです。
決済代行会社を通した場合の決済の仕組みは、基本的には3者間決済の仕組みとほとんど同じです。
決済代行会社を通した場合の変更点は、次のとおりです。
- カード加盟店が、本来カード会社に請求すべきカード利用金額を決済代行会社に請求する
- カード会社が、加盟店手数料を差し引いて立て替えるカード利用金額を、決済代行会社が決済手数料を差し引いて立て替える
クレジットカード利用者のメリット・デメリット
クレジットカード利用者には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ここでは、クレジットカード利用者のメリット・デメリットを解説します。
クレジットカード利用者のメリット
クレジットカード利用者の主なメリットは、次のとおりです。
- 現金がなくても買い物が可能
- 分割払いができる
- ポイントを貯めて利用できる
- 付帯保険や特典を利用できる
- 利用明細が確認可能なため、お金の管理がしやすくなる
それぞれについて、解説します。
現金がなくても買い物が可能
クレジットカードの最も大きなメリットは、現金がなくても買い物が可能なことです。
というのは、クレジットカードを提示すれば、決済が可能だからです。
そのため、財布の中に現金がほとんどなかったとしても、買い物ができます。
分割払いができる
クレジットカードを利用すれば、支払方法として、一括払いだけでなく分割払いを選択することができます。
そのため、高額商品を購入することができます。
ただし、2回払いは基本的に手数料が無料ですが、3回払い以降は手数料が発生するので注意が必要です。
また、ボーナス一括払いも手数料は無料になります。
ポイントを貯めて利用できる
クレジットカード利用者のメリットとして、ポイントを貯めて、利用できることが挙げられます。
貯めたポイントは、商品券などに交換できるほか、他のポイントと交換したり、キャッシュバックしたりすることができます。
クレジットカードの種類によってさまざまなポイントがあり、マイルが貯まるカードもあります。
付帯保険や特典を利用できる
クレジットカードの中には、付帯保険として国内・海外旅行傷害保険やショッピング保険が付いているカードがあります。
国内・海外旅行傷害保険は、国内・海外旅行中の病気やケガに備えた保険で、ショッピング保険とは、カードで購入した商品の破損や盗難による損害に備えた保険です。
また、クレジットカードにはさまざまな特典も付いており、商品やサービスの割引券や会員限定のライブチケット販売、空港ラウンジの利用などの特典があります。
そのため、どのクレジットカードにするか迷った際は、自分に合った特典が付帯しているかを比較ポイントに挙げてみるのも良いでしょう。
利用明細が確認可能なため、お金の管理がしやすくなる
クレジットカード利用者のメリットとして、利用明細が確認可能なため、お金の管理がしやすくなることが挙げられます。
というのは、利用明細がスマホやパソコンから確認できるからです。
そのため、できるだけクレジットカードを支払いに利用すれば、お金の管理がしやすくなります。
クレジットカード利用者のデメリット
クレジットカード利用者の主なデメリットは、次のとおりです。
- 使いすぎてしまう傾向がある
- リボ払いなどには手数料(金利)が発生する
- 不正利用されるリスクがある
それぞれについて、解説します。
使いすぎてしまう傾向がある
クレジットカードは、現金がなくても買い物ができるため、使いすぎてしまう傾向があります。
というのは、クレジットカードの支払いは、どのくらい使っているかをイメージしにくいからです。
その結果、翌月の銀行口座から引落しができないということになります。
引落しができない場合、遅延損害金を支払わなければならないため、要注意です。
リボ払いなどには手数料(金利)が発生する
クレジットカードの支払い方法は、大きく分けて「1回払い」「2回払い」「分割払い」「リボ払い」「ボーナス払い」があります。
1回払いと2回払いは基本的に金利がかからないことが多いですが、分割払い、リボ払い、ボーナス払いには、原則として手数料(金利)が発生します。
毎月の支払い額だけをチェックしていたら、利用総額が思っていたより大きくなり完済まで時間がかかってしまうのはデメリットになるケースがあります。
不正利用されるリスクがある
クレジットカード利用者のデメリットとして、不正利用されるリスクがあることが挙げられます。
最も不正利用されるリスクが高いのが、インターネットショッピングで買い物をすることです。
というのは、インターネットショッピングで商品やサービスを購入する場合、カード情報を登録する必要があるからです。
そのため、セキュリティの高いECサイトを利用したり、不正利用対策が充実したクレジットカードを利用したりすることが重要になります。
クレジットカードの不正利用対策としては、購入した商品やサービスが補償されるショッピング保険などが挙げられます。
また、クレジットカード情報を不正利用されないよう、盗難や紛失にも気をつけなければいけません。
もし、クレジットカードの盗難や紛失の被害に遭ったら、すぐにカード会社に連絡してください。
クレジットカードの支払方法は主に7種類
クレジットカードの支払方法は、主に次の7種類があります。
- 1回払い
- 2回払い
- 分割払い
- ボーナス1回払い
- ボーナス2回払い
- リボ払い
- ショッピングスキップ払い
それぞれについて、解説します。
①1回払い
1回払いは最も一般的な支払方法で、分割払いなどの指定をしなければ、原則として1回払いとなります。
手数料がかからないため、商品やサービスの代金のみ引き落とされます。
②2回払い
2回払いは分割払いの1つで、翌月と翌々月の2回に分けて支払う方法です。
分割払いを利用すると、手数料がかかりますが、2回払いの手数料は無料としているカード会社がほとんどです。
③分割払い
分割払いとは、クレジットカードを利用した金額を複数に分けて支払う方法です。
2回払いは手数料無料ですが、3回払い以上は手数料がかかります。
支払回数は、クレジットカードによって違っていますが、支払回数が多くなるほど手数料の負担が大きくなるため、要注意です。
④ボーナス1回払い
ボーナス1回払いは、夏・冬のボーナス月に一括で支払う方法です。
ボーナス1回払いの手数料は無料となっているほか、支払いを先延ばしにできるというメリットがあります。
⑤ボーナス2回払い
ボーナス2回払いは、夏・冬のボーナス月に2回に分けて支払う方法です。
ただし、ボーナス2回払いには手数料がかかるため、要注意です。
⑥リボ払い
リボ払いは、毎月一定の金額を返済していく方法です。完全に自分で好きな金額に設定できるというわけではなく、ご利用残高とご利用可能額を元に、1回あたりの返済金額を選択できるケースが多いです。
支払いの管理が楽である反面、リボ払い手数料が高い傾向にありますので、手軽さだけで選ぶのではなく支払い計画を踏まえてリボ払いにするかどうかを検討した方が良いでしょう。
⑦ショッピングスキップ払い
ショッピングスキップ払いとは、ショップピング1回払いの翌月の支払月を延長することができる方法です。
支払月を延長することで、遅延や滞納を防ぐことができるというメリットがある一方、手数料がかかるというデメリットがあります。
ただし、繰上返済をすることができるので、手数料を抑えることができます。
海外でクレジットカードが利用できる仕組み
海外でクレジットカードが利用できるのは、どのような仕組みがあるからでしょうか。
ここでは、クレジットカードが海外でも利用できる仕組みと国際ブランドの種類について、解説します。
国際ブランドのおかげで海外で利用できる
クレジットカードが海外でも利用できるのは、国際ブランドのおかげです。
というのは、国際ブランドのマークが表示されたクレジットカードを利用すれば、世界中の国際ブランド加盟店で、商品やサービスを購入することができるからです。
国際ブランドとは、Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)などのことで、クレジットカード決済システムを世界中に提供している会社のことです。
発行されているクレジットカードには、国際ブランドのマークが表示されています。
カード発行会社は、国際ブランドとライセンス契約を結ぶことで、クレジットカードに国際ブランドのマークを表示することが可能になります。
国際ブランドの種類
国際ブランドにはいくつかの種類がありますが、5大国際ブランドと言われているのは、次のブランドです。
- Visa(ビザ)
- JCB(ジェーシービー)
- Mastercard(マスターカード)
- American Express(アメックス)
- Diners Club(ダイナースクラブ)
イプソス株式会社の「2020年キャッシュレス大規模調査」(https://www.ipsos.com/sites/default/files/ct/news/documents/2020-12/cashless_monthly_survey1219.pdf)によると、日本で利用されたクレジットカードの国際ブランドシェア率は、次のようになっています。
1位 Visa(ビザ) 50.8%
2位 JCB(ジェーシービー) 28.0%
3位 Mastercard(マスターカード) 17.8%
4位 American Express(アメックス) 3.1%
5位 Diners Club(ダイナースクラブ) 0.1%
まとめ
クレジットカードとは、現金なしで商品やサービスを購入できるカードのことです。
カード会社がカード利用者の信用を証明しているからで、その証明となるのがクレジットカードなのです。
この記事では、次のような点を説明しました。
- クレジットカードは、「カード利用者」「カード加盟店」「カード会社」の3つの存在から成り立つ
- 海外でクレジットカードが利用できるのは、国際ブランドのおかげ
クレジットカード利用者の主なメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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・現金がなくても買い物が可能 ・分割払いができる ・ポイントを貯めて利用できる ・付帯保険や特典を利用できる ・利用明細が確認可能なため、お金の管理がしやすくなる | ・使いすぎてしまう傾向がある ・リボ払いにすると手数料が高く、支払期間が長い ・不正利用されるリスクがある |
このようなクレジットカード決済の仕組みを理解しておけば、クレジットカードを上手に利用できますし、不正利用の防止にもなります