カードローンの返済は毎月1回行うのが一般的ですが、一括で返済することもできます。
一括返済は借入残高が0円になるだけでなく利息を抑える効果や他の審査に有利になるなど、魅力が豊富です。
一方で、リスクも存在するため、自分に最適な方法か考えてから手続きしなければいけません。
また、実際にどのくらい利息が軽減されるのかシミュレーションを確認し、一括返済を行う価値があるかを検討することが重要でしょう。
カードローンの一括返済とは?
カードローンの一括返済とは、現在の借入残高を全額返済する方法です。
一括返済を利用することで、借入金を全て精算できるため、新たな借入を行わない限りは今後返済する必要がありません。
そもそも、カードローンの返済方法は、約定返済と繰上返済の2種類が挙げられます。
・約定返済
支払期日に返済する手段
・繰上返済
支払期日より前に一部もしくは全額を返済する手段
上記のうち、繰上返済が一括返済に該当する支払手段です。
カードローンは基本的に約定返済が主流ですが、繰上返済を活用する魅力もあるため、それぞれの返済方法の特徴を理解しておきましょう。
約定返済とは?
約定返済とは、カードローンの基本的な返済のパターンで、契約時に定めた一定の日にちに決められた金額を支払う返済の手段です。
一般的なカードローンでは毎月1回約定返済が行われますが、一部の金融機関では35日ごとに1回返済するというシステムを採用しています。
しかし、上記どちらの方法でも一定のタイミングごとに分割で返済するという仕組みは共通している点を理解しておきましょう。
繰上返済とは?
一方で、繰上返済とは約定返済とは別のタイミングで、借入金を任意の金額返済する方法です。
約定返済とは異なりいつでも返済が可能なことから『随時返済』とも呼ばれます。
繰上返済を行うことで元金を効率的に減らすことが可能なため、資金に余裕があるタイミングで検討したい選択肢の1つです。
カードローンを一括返済する3つのメリット
カードローンを一括返済する魅力としては、以下の3点が挙げられます。
・総支払額が安くなる
・借入がしやすくなる
・信用情報に返済と記録される
特に、利息を抑えたい方や、他の借入を検討している方にとって魅力となるでしょう。
総支払額が安くなる
カードローンの一括返済を行うと、総支払額が軽減される点が魅力です。
これは、一括返済によって利息の支払額が少なくなることが理由として挙げられます。
上記からもわかる通り、借入残高や借入日数が大きいほど支払う利息が増加するため、一括返済で早く残高を減らすことで利息を減らせます。
そのため、支払う利息をなるべく抑えたいという方は一括返済を検討する余地があるでしょう。
借入がしやすくなる
カードローンを一括返済すると、他の借入の審査に良い影響を及ぼす場合があります。
ローンなどの審査では、他の借入額を含めた総借入額と年収とのバランスによって適切な限度額が判断されます。
そのため、カードローンの一括返済を行うことで、借入総額が減少するため他の借入がしやすくなるのです。
また、借入がしやすいだけでなく、希望限度額が増える可能性が高くなるため、今後他の借入を検討している方は一括返済も視野に入れておきましょう。
信用情報に返済と記録される
カードローンの一括返済は信用情報に記録されるため、他の借入の審査に良い影響を及ぼすことが魅力です。
借入の審査では信用情報を確認し、過去の返済に問題がないかを厳正に審査しています。
そのため、信用情報に一括返済の記録が存在していると、計画的に返済できる方かつ無理なく返済できる方であることが判断できるのです。
そのため、信用情報に良い情報を残したい方は、一括返済を検討すると良いでしょう。
カードローンを一括返済する3つのデメリット
カードローンを一括返済するデメリット(リスク)は、以下の3点が挙げられます。
・貯金が減り生活が圧迫される
・約定返済とは別の手続きが必要になる
・一括返済は解約とは異なる
リスクを理解しないまま一括返済してしまうと、思わぬトラブルとなる可能性があります。
一括返済を検討している方は、上記のリスクについて理解しておきましょう。
貯金が減り生活が圧迫される
カードローンを一括返済するということは、残りの借入金分を全て精算することになるため、貯金が大幅に減るリスクがあります。
例えば、残高が50万円のカードローンを一括返済するケースでは、50万円+利息分を一度に支払うため、貯金残高が50万円以上減少します。
一括返済を行なっても、生活が厳しくなり、再度カードローンで借入を行うという悪循環に陥る可能性もあるため、計画的な返済が重要でしょう。
約定返済とは別の手続きが必要になる
カードローンの一括返済は約定返済とは別で手続きを行わなければならず、手間がかかる点がデメリットです。
カードローンの一括返済手段は金融機関ごとに異なるため、希望する手段で返済できない場合や手続きに時間がかかる可能性もあります。
また、一括返済では利息もまとめて支払うため、手続きの時間が1日ずれるだけでも支払う金額が増える点に注意が必要です。
一括返済は解約とは異なる
カードローンで一括返済を行なっても、解約という扱いにはならず、利用額が0円になるだけです。
利用額が0円になることは魅力的に感じますが、様々なリスクもあります。
カードローンは限度額まで自由に借入ができるローンであるため、解約していない状態では再度借入してしまうリスクがあるでしょう。
そのため、ついついカードローンを使い過ぎてしまい、借入残高が膨らむ可能性もあるため、一括返済後も計画的な利用が必要です。
カードローンの一括返済が向いている人・向かない人
カードローンの一括返済にはいくつかメリットがありますが、全ての人が適している返済とはいえません。
まずは、カードローンの一括返済が向いている方・向かない方の特徴について、以下の表にまとめました。
向いている方 | 向いていない方 |
---|---|
・利息をなるべく抑えたい方 ・住宅ローンやマイカーローンの利用を検討している方 ・信用情報に良い記録を残したい方 | ・貯蓄が充分でない方 ・自分のペースで支払いたい方 ・返済手続きに時間をかけたくない方 |
利息を抑えたい方や他社の借入を検討している方、一括返済のリスクが気にならないという方は、検討する価値があります。
カードローンの一括返済が向いている人
カードローンの一括返済が向いている方は、次のような特徴があります。
・利息をなるべく抑えたい方
・住宅ローンやマイカーローンの利用を検討している方
・信用情報に良い記録を残したい方
一括返済の魅力として大きいのが利息の支払いを抑え、総支払額を減少させるというものです。
利息が減ることは誰にでも魅力があるため、なるべく支払う金額を減らしたいという方は一括返済を視野に入れましょう。
また、住宅ローンやマイカーローンなどの審査を有利に進めたいという方にも一括返済が効果的です。
カードローンの一括返済が向かない人
一方で、カードローンの一括返済が向かない人は、次のような特徴があります。
・貯蓄が充分でない方
・自分のペースで支払いたい方
・返済手続きに時間をかけたくない方
まず、カードローンの一括返済ではまとまった資金を一度に支払うため、貯金残高が大きく減る可能性があります。
そのため、貯蓄が充分でない方は生活が困窮する可能性や新たな借入が発生するリスクがあるため、一度検討した方が良いでしょう。
また、一括返済は約定返済とは異なり自分から返済の手続きを行う必要があります。
カードローンを一括返済した場合のシミュレーション
カードローンの一括返済の魅力として大きいのが、利息と総支払額の軽減効果です。
しかし、一度に大きな金額を支払うというリスクもあるため、どのくらい返済額や利息が抑えられるのかという費用対効果が気になる方もいるでしょう。
ここからは、借入金額や一括返済の時期別にどのくらい返済額が抑えられるのか、シミュレーションを活用して説明していきます。
借入金額50万円・金利18.0%・返済期間5年の場合のシミュレーション
まずは、借入金額50万円・金利18.0%・返済期間5年の場合に、約定返済と一定期間後に一括返済を行なったシミュレーションについて確認していきましょう。
返済方法 | 総支払額 | 利息支払額 | 一括返済時の支払額 |
---|---|---|---|
約定返済のみ | 768,249円 | 268,249円 | – |
1年後に一括返済 | 593,202円 | 93,202円 | 436,938円 |
2年後に一括返済 | 665,104円 | 165,104円 | 352,576円 |
3年後に一括返済 | 720,501円 | 220,501円 | 251,709円 |
通常の約定返済のみを行うケースでは、利息の支払額は268,249円となります。
一方で、一括返済を行うケースでは、早ければ早いほど利息の支払額が抑えられることがポイントです。
例えば、借入から1年後に一括返済を行うと利息支払額は93,202円となり、約定返済のみと比べて175,047円も抑えられます。
2年後、3年後に一括返済を行なったケースでも同様ですが、利息の軽減は1年ごと比べて少なくなります。
そのため、シミュレーションを参考にしながら適切なタイミングで一括返済を検討することも選択肢の1つでしょう。
借入金額100万円・金利15.0%・返済期間7年の場合のシミュレーション
次に、借入金額100万円・金利15.0%・返済期間7年の場合に、約定返済と一定期間後に一括返済を行なったシミュレーションについて確認していきましょう。
返済方法 | 総支払額 | 利息支払額 | 一括返済時の支払額 |
---|---|---|---|
約定返済のみ | 1,632,650円 | 632,650円 | – |
1年後に一括返済 | 1,158,326円 | 158,326円 | 922,274円 |
3年後に一括返済 | 1,404,138円 | 404,138円 | 695,982円 |
5年後に一括返済 | 1,571,346円 | 571,346円 | 391,086円 |
通常の約定返済のみを行うケースでは、利息の支払額は632,650円となり、借入金額が50万円の時と比べて支払額が増えます。
一方で、借入から1年後に一括返済をしたケースでの利息支払額は158,326円と大幅に抑えられることがわかります。
借入金額が大きい分、数年後の一括返済となっても利息軽減効果は大きくなります。
例えば、3年後の一括返済で404,138円の利息、5年後の一括返済では571,346円の利息がかかりますが、約定返済のみを行うケースの利息支払額が632,650円と考えると、メリットは大きいです。
そのため、借入金額が高額な方は一括返済で支払う金額も増加しますが、充分な利息軽減効果も見込めるため、資金に余裕ができたタイミングで検討しておきましょう。
カードローンを一括返済する手順
カードローンの一括返済に充分なメリットを感じた人は、手続きを検討しましょう。
具体的な一括返済の手順、流れについては、以下の通りです。
1.借入残高を確認する
2.返済方法を一括返済にする
3.借入残高すべてを入金し残高0円を確認する
4.必要に応じて完済証明書(残高証明書)を発行してもらう
借入残高を確認する
まずは、一括返済の金額を把握するために、借入残高をチェックしましょう。
また、本人確認ができる場合には、電話で残高の照会を受け付けているカードローン会社も存在します。
返済方法を一括返済にする
現在の借入残高をチェックしたら一括返済の手続きを行います。
一括返済の手続き方法についてはカードローン会社によって異なりますが、以下の方法が利用できるケースが多いです。
・ローンカードに現金を入金
・金融機関の口座振替
・インターネットバンキングから入金
・カードローン会社の店頭窓口で現金を入金
ただし、上記の方法でもカードローン会社によっては対応していないケースがあるため、手続き前に一度問い合わせておくと安心でしょう。
借入残高すべてを入金し残高0円を確認する
一括返済の手続き方法について確認したら、所定の手段で返済金額を全て入金しましょう。
無事に手続きが完了すると、カードローンの残高が0円になります。
ただし、うまく反映されていない場合や把握していた残高が間違っていたケースがあるため、必ず残高が0円になっていることをチェックしておくことが望ましいです。
必要に応じて完済証明書(残高証明書)を発行してもらう
完済手続きでカードローンの残高を0円にしたら、必要に応じて完済証明書(残高証明書)を発行してもらいましょう。
完済証明書を発行する際の注意点として、手続きを行う会社によっては紙媒体で発行できないケースや手数料がかかるケースがあります。
また、一部のカードローン会社では完済証明書の発行に対応してないケースも見受けられるため、注意が必要です。
カードローン一括返済のメリットを最大限に活かそう!
カードローン一括返済には利息が軽減されるという魅力があります。
ただし、貯蓄が充分でない方が利用すると生活が困難になる危険性もあるため、シミュレーションを活用しながら検討しておく必要があるでしょう。
また、一括返済が厳しい場合でも、一部繰上返済を行うと利息の軽減効果が見込めるため、まとまった資金がある場合には検討するのも効果的です。
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